むしくいブログ
【B08】こといづ 備忘録
こんにちは。もじもじです。
私はエッセイや暮らしの本をよく読みます。
個人的な読書感想となってしまいますが、宜しければご覧ください📚
今回の本紹介はこちら⇩
タイトル:こといづ
著者:高木正勝
木楽舎
今の家に引っ越してから、まもなく1年になる。便利な郊外の街中から、現在の片田舎の家に越してきて、4つの季節を見て、聴いて、体験した。
田舎へ引っ越してから、虫との出会いは増えたし、冬は寒いし、夏は暑い。車は手放せない生活だし、一軒家のため、あれこれメンテナンスにお金はかかるが、「ここに引っ越して良かった」という気持ちはずっと変わらない。
今回ご紹介する『こといづ』の著者、高木正勝さんも、都会から自然豊かな土地へ引っ越しをされた方である。彼は音楽家、映像作家であり、細田守監督の映画の映画音楽も手掛けており、当書には身の回りの自然の音や色、その暮らしぶりが柔らかい言葉でたくさん綴られている。私が好きな一節はこれである。
『ちいさなむら』
以前の暮らしと同じ便利を求めると30分は車を走らせないといけませんが、住んでみればなんでもなく、静かな山道や昔ながらの集落を、太陽の移ろいと共に味わいながら移動できて楽しいです。
それに、こんなところに住んでいると、欲しいものも変わってきますし、自分の手でやってみたいことも増えてきます。なにより、本当に見たい聞きたい触れたい知りたいが、そこら中に自生しています。
私たち家族もここに越してきてから、まず畑を作り、野菜を植えた。果物も育ててみたいねと、林檎と梨の苗木を植えた。とにかく、アパート住みではなかった広い庭が手に入り、あれこれ庭を豊かにさせたいと夢中になり、リビングから桜が見えたら素敵だよねと、河津桜の木も植えた。
街中に住んでいた時は、休みになればとにかく出かけたい、家から出たい思いに駆られていた。少し足を伸ばせば、大きな書店があったり、ショッピングモールがあったりして、楽しいことはほとんどが家の外にあった。
現在住んでいるところは、大きなお店と言えば、ホームセンターや小さめのショッピングモールくらいで、休日は家にいることが多くなった。お金を使う機会が減り、家で何をしようかな、と考えることが多くなった。昨年と大きく変わったのは、家族全員の読書量である。我が家にはテレビが無いので、娘にとって絵本は視覚と想像力を刺激させてくれるものだと思う。
家にいることが多いので、季節の移ろいを感じることが増えた。山奥ではないけれど、緑が近くにある家なので、夏の今では早朝はひぐらしの声が聞こえる。初夏には、近所の山でお茶刈りをしている農家さんの姿がそこここに見える。
確かに以前の暮らしと比較すれば、不便なことは多くなった。しかし、それ以上に今までの生活では味わえなかった豊かな暮らしを手に入れることができた。「豊かな暮らし」は人それぞれ違うけれど、私が大切にしたい生活はここにある。高木正勝さんの『こといづ』はそんな私の味方となってくれる一冊である。